2017年9月24日 本紙掲載
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城館と舞台が幻想的に浮かび上がる中で繰り広げられた薪能=23日、八戸市の「史跡根城の広場」

 闇夜に浮かぶ中世の城館と能舞台―。デーリー東北新聞社主催の八戸市市制施行88周年記念「史跡根城 薪能(たきぎのう)」(八戸市、市教委共催)が23日、市の「史跡根城の広場」で開かれた。脈々と受け継がれてきた伝統芸能が、かがり火に照らし出された舞台で繰り広げられ、約1700人の観衆を、幽玄の世界へといざなった。

 能・狂言につながる猿楽を大成した観阿弥が生まれた1333年は、根城を築城した南部師行が奥州入りした年でもある。同時期に誕生した中世の城と芸能が約700年近い時を経て出合った舞台には、人間国宝で狂言師の野村万作さん、萬斎さん親子や、能楽師の宝生流宗家宝生和英さん、今井泰行さんら当代一流の演者が顔をそろえた。

 演目は仕舞「班女(はんじょ)」「善知鳥(うとう)」と、夫婦の復讐劇を滑稽に描く狂言「千切木(ちぎりき)」、源義経と弁慶が平家の亡霊に襲われる能「船弁慶」。古くから日本人に親しまれてきた演目が続き、情感たっぷりの謡(うたい)や笛、太鼓、舞台を踏み鳴らす音が、根城の夜空に厳かに響いた。

 広場を埋め尽くした観衆は、大道具やセットを用いずに場面を表現する演者の洗練された所作一つ一つにじっと見入り、時間を数百年巻き戻したかのような空間の中にしばし身を委ねていた。

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