2017年11月5日 本紙掲載
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学校の好きな場所と思い出を絵で表現した子どもたちと、指導した池田晶紀さん(後列左端)。作文と共に企画展で展示される=10月30日、十和田市立松陽小

 十和田市郊外の農村地帯にある全校児童43人の市立松陽小(清水目明美校長)の6年生12人が10月下旬、アーティストと共に創作活動に取り組んだ。成果としての作品は、杉並木に囲まれた学校全体を美術館に見立て20~25日に開催する企画展「ようこそ美術館へ」と、市中心街の交流スペース「14―54」(同市稲生町)で25日~12月23日にそれぞれ展示する。同校では来春の卒業前に学校生活の思い出を振り返る現実体験を、「14―54」では架空の世界をテーマに表現、「アートのまちの学校」を発信しようと意気込んでいる。

 市現代美術館が企画し、都内在住の写真家池田晶紀さんが児童を指導。10月23~31日、同校と同美術館でワークショップを開いた。

 まず児童らは校内の好きな場所を選んでスケッチし、そこでの思い出を作文に書いた。音楽室の窓から見える四季折々の自然、体育館や図書室…。正面玄関にある二宮金次郎像の頭に、入学時は手を伸ばしても届かなかったが、今は自分の方が大きくなった―と成長をつづる子もいた。

 作文と絵は同校での企画展で、舞台となった各スポットに展示。池田さんは児童の制作の様子や作文の朗読発表、通学風景などのドキュメンタリー映像を撮影しており、会場で上映する予定だ。

 学校で現実に経験した記憶を作品化した後は、美術館を訪れ、架空世界の表現に挑戦。常設エリア展やアート広場などを巡って独創的な作品を次々とカメラで撮影し、現像した写真を見ながら物語を着想した。

 水玉模様のカボチャの家に住む妖精、光に包まれた六角形のトンネルをワープする女の子、カラフルなベンチの上に突然出現した宇宙人―。児童らはビニールや布切れなどで手作りした衣装を着て物語の主人公に成り切り、ポーズを取ったり跳びはねたりし、池田さんや別の児童が撮影した。

 母良田裕晴君は「学校の体育館で表彰され、うれしかった記憶を作文と絵にした。大人になっても思い出したい」と笑顔。美術館を初めて見学した大久保葵生(あいな)さんは「アートは難しいイメージがあったけど、不思議な面白さに興味が湧いた」と目を輝かせた。

 清水目校長は「今回の体験で子どもたちは池田さんから刺激を受け、世界が広がったと思う。自然に囲まれた環境の良い学校なので、企画展では多くの人に足を運んでいただきたい」とアピール。池田さんは「子どもには今しか見られない景色がある。よく観察して作品に残し、後で振り返る経験が表現力や感性を高める」と話していた。

 いずれの企画展も入場無料で午前10時~午後4時。同校は23日休館で、25日は正午まで。「14―54」の開館は土日(平日は不定期、月曜休館)。問い合わせは、十和田市現代美術館=電話0176(20)1127=へ。

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